工業会会員の中で企業の取締役や役員等リーダーシップを執る立場にある方々と理工学部?生物資源産業学部の学科長(コース長,系長)らで構成される「工業会T&E 会」が2008年度に設置され,現在まで継続して活動しています。T&Eとは「Top and Executive」であり,企業と大学で相互に連携を保ちつつ,本学の研究や教育への有形無形の協力や助言をいただきながら,工業会会員にも本学の情報を提供いただくことが趣旨となっています。
2024年度活動としては,2024年11月29日(金)に理工学部が主催し近畿支部連合会ご協力のもと,就職支援セミナーが開催され,武藤理工学部長からの趣旨紹介と,電気61卒,鹿島建設株式会社の黒田憲二氏による工業会の活動紹介に続き,卒業生3名の方々の講演がありました。講演者や教職員,学生合わせて43名が参加しました。まず,電気52卒,一般社団法人日本知的財産協会の田村義文氏による「知的財産の基礎」と題した講演では,そもそも職務発明制度は,社員が会社によって適切に評価され,報いられることを保障することにより発明のインセンティブを喚起しようとするものであることが述べられました。最近は知的財産権が認められる範囲が広がる傾向にあり,技術者にとっても魅力が増していることから,学生諸君には是非,特許取得を目指して欲しいとの激励がありました。
次に,光応H31卒,株式会社きんでんの北岡昌真氏より,「社会人5年間の経験と電気設備業界について」と題した講演があり,入社1年目の社内教育や実習の内容について,続いて実際に携わった施工管理業務や設計業務の具体的な内容が豊富な写真とともにわかりやすく紹介され,初めて担当した現場で設計通りに照明が点灯したときの充実感や,現場で多様な顧客のニーズに応えながら設備全体を構成する面白さを熱く語られました。現在は,急速なIT化により,電気的に難易度の高い建築物件が増えていて,電気?情報分野卒の学生にも建築業界から期待が寄せられていること,また昨今の異常気象を受けてBCP 対策の観点から非常用発電機の工事など電気設備業界の需要の伸びが期待されることや,働き方の改善が進んで風評と実際が異なることなども説明されました。
最後は,最後は,機械62卒,スカイワークスフィルターソリューションズジャパン株式会社の大橋邦彦氏より,「会社人生36年の振り返り」と題した講演が行われました。卒業してから,転職も含む豊富な業務経験について紹介され,伝統的な日本文化の会社から外資系会社への転職経験や,専門分野も半導体エンジニアから化学薬品やデジタル技術までといったジェネラリストの域に到達された経験についてご紹介がありました。学生に対しては,まずはコアスキルの習得と向上を目指すこと,そして若いうちは業務に壁を作らずに何にでも取り組み,わからないことは積極的に質問することを勧められました。また,キャリア採用に関しては,勤続年数も考慮され,かつて指導教員から「10年は勤めなさい」と指導を受けた経験にご自身の実務経験を踏まえても,短期間での転職は避けて3年~5年は努力を続けることを勧められました。
最後に,本セミナー開催に関して,ご支援くださった関係各位にお礼申し上げます。